電磁シールドモニタリングシステムとは

電磁シールド性能は、使用頻度や埃等の影響により、開口部が特に経年的に劣化します。その劣化状況を電磁シールドモニタリングシステムで監視することにより、要求仕様を満たしているか把握する装置です。

技術的課題

正確に開口部の電磁シールド性能を評価するためには、開口部に対向した位置(図1赤いアンテナ位置)に送受信アンテナを設置する必要があります。しかし、部屋の利用を考慮すると、天井裏にアンテナを設置(図1青いアンテナ位置)することが現実的です。一般的に、漏えい位置と送受信アンテナとの位置が離れるほど、見かけ上電磁シールド性能が向上してしまいます。天井裏にアンテナを設置した場合、最大で50dBの電磁シールド性能の差がありました(図2垂直偏波)。また、漏えいする形状に応じて評価できる偏波面が異なるため、片方の偏波面だけでは正確に評価できないことがわかります。

図1 電磁シールドモニタリングシステムの概要図

監視装置用受信アンテナ 監視装置用送信アンテナ 送受信アンテナを設置可能な場所 天井裏 天井 廊下 受信アンテナ SA 扉 送信アンテナ SG床 測定位置 シールド範囲 シールドルーム

図2 実験による電磁シールド性能の分布結果(40dB)

シールド面 漏えい位置 水平偏波 シールド面 漏えい位置 垂直偏波 シールド性能[dB]

電波の到達距離を考慮した評価手法

本システムには、電波の到達時間を特定する機能が導入されており、時間から距離を求め、その距離に応じて電磁シールド性能を補正することにより、天井裏にアンテナを設置しても正確に評価することができます。(特許出願中)

図3 伝搬距離と補正値との関係

電磁シールド性能の差[dB] 漏えい位置 補正結果 伝搬距離[m] 伝搬距離と補正値との関係 シールド性能の差[dB]

設置方法

電磁シールドルームにモニタリングシステムを設置する場合、電波法を考慮して、部屋内から電波を送信させ、部屋の外で受信させます。モニタリングシステムの設置位置は、特に問いません。ただし、部屋を貫通する信号線パネルが必要となります。

図4 モニタリングシステムの設置例

受信側アンテナ 送信側アンテナ 同軸ケーブル 電磁シールドルーム 信号線パネル 同軸ケーブル 電磁シールドモニタリングシステム

モニタリングシステム

クロス偏波送受信アンテナ

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